今回は『時の迷宮』と『絶対LIVE』の円盤発売を記念して、マクロスシリーズを観るにおいてお勧めしたい順番を紹介します。
目次
マクロスシリーズとは
1982年に放送された『超時空要塞マクロス』を皮切りにTVや劇場版、さらにOVAやゲーム等と数々のヒット作品を生み出してきたSFアニメ作品シリーズです。
歌・戦争・恋愛(男女の三角関係)という3つの大きな要素を巧みに絡ませながら展開される独創的な設定やストーリー性は40周年を迎えた現在も、多くファンたちから支持され続けています。
マクロス作品を観る順番のお勧め
これからマクロスシリーズに触れようと考える新規ファンたちに向けて、お勧めしたい順番を紹介します。
【1番目】マクロスF(フロンティア)
TV版(全25話) | 2008年4月〜9月 |
劇場版 | 『イツワリノウタヒメ』2009年11月21日 『サヨナラノツバサ』2011年2月26日 『マクロスFB7』2012年10月20日 |
劇場短編 | 『時の迷宮』2021年10月8日 |
これからマクロスシリーズに入る人達に最初に観てほしい作品は『マクロスF』になります。
普通ならば「初代マクロスから発表されたシリーズ作品順に観るべき!」というファンも多いかと思いますが、2000年代からの新規ファンを多く獲得したのは紛れもなく『マクロスF』でした。
放送から15周年を迎えた現在でも色褪せることのない映像美や深い人間関係、さらに主人公アルトを始めとした魅力的なキャラクターたちは多くのファンたちから愛され続けています。
さらに、2人の歌姫として登場したシェリルとランカの歌や可愛さは今もなお絶大な人気を誇り続けています。
また、本作品は“原点回帰”を1つのテーマとされているため、設定や主人公像、歌姫キャラの苦悩やデビューまでの道のりなど「初代マクロス」を踏襲した面も多く盛り込まれている点も、初めて観るシリーズ作品としてイチオシしたい理由に入ります。
ガンダムシリーズで例えると『ガンダムSEED』が「21世紀のファーストガンダム」であるなら『マクロスF』は「21世紀の初代マクロス」と言えるでしょう。
(マクロスの場合はFよりも前に『マクロスZERO』が発表されていましたが・・・)
まずはTV版全話(25話)を視聴して最終話のキレイな結末に感動できた後は、劇場版2作(『イツワリ〜』と『サヨナラ〜』)を視聴して、同じマクロスFでも完全に異なるストーリー展開や結末に衝撃を受けながら自分なりの考察を立てると止まらなくなります。
そして2021年には劇場版の正当な続編となる劇場短編『時の迷宮』が公開されたことで「アルトの帰還」や「シェリルの覚醒と復活」にも期待を持てるようになりました。
そのため、今後は更なる続編や本当の完結編を待ち望むファンも多く、それらが実現した時に備える気持ちも含めて、まずは『マクロスF』から視聴していただきたいですね。
【2番目】マクロスZERO(ゼロ)
OVA版(全5巻) | 2002年12月〜2004年10月 |
マクロスFの後には、その前に発表された『マクロスZERO』の視聴をお勧めします。
本作品は初代マクロスより1年前のマヤン島を舞台に描かれたOVA作品であり、シリーズの中で最も古い時代背景として制作されました。
しかしバルキリー全体を初めてフルCGで描かれた初めての作品でもあり、そのクオリティは後のFやΔで更なる進化を遂げたのです。
さらにマクロスF本編で「シェリルの祖母」として登場したマオ・ノームも、このZEROでは姉(サラ)と並ぶメインヒロインとして登場しました。
そのため、マクロスFを視聴した中で「マオはどんな恋愛を経験してきたのか?」など、マオに関する疑問が多く浮かんでくるはずです。
ちなみに『マクロスF』TV10話で撮影された映画「鳥の人」も『マクロスZERO』のストーリーや舞台を元に作られました。
さらに、この作品で空母アスカの技師班長として登場した“中島雷造”も後の『マクロスΔ』に登場した「マキナ中島の曾祖父」であることも判明しました。
そのため、FやΔを視聴後にZEROを観ることでマオや中島雷造の存在感の大きさを理解しながら楽しめるでしょう。
しかも「輝やミンメイと出会う前のロイ・フォッカー」も登場しているため、初代マクロスが好きなファンにもお勧めできる作品です。
【3番目】マクロスΔ(デルタ)
TV版(全26話) | 2016年4月〜9月 |
劇場版 | 『激情のワルキューレ』2018年2月9日 『絶対LIVE!!!!!!』2021年10月8日 |
3番目に観るべきは、現時点での最新作となる『マクロスΔ(デルタ)』です。
『マクロスF』から8年後の時代を舞台とされた本作品では「歌姫のユニット化」や「人VS人」を始め、これまでのシリーズ作品とは大きく違う新たな試みが成されました。
全体的なストーリー性においてはマクロスFより劣るため「マクロスFを超えられなかった」という厳しい評価もされていますが、TV版の前半(第1クール)でのスピード感溢れる怒涛なストーリー展開においては間違いなくFを超えていたと思います。
また、私からの視点ではシリーズ恒例の”板野サーカス”の迫力やスピード感もFよりΔの方が迫力や臨場感が大きかったです。
さらに、ワルキューレの歌のクオリティーにおいてもシェリルやランカにも負けていない上、これまでの歌姫たちと違って本人たちも直接戦場に乗り込んで歌いながら「ヴァール症候群」にかかった人達を治療してしまうのです。
また、本作品の劇場版(絶対LIVE)ではシリーズ初となる「歌姫(フレイア)の死亡」という衝撃な結末を迎えたことが多くの涙を誘い、感動させてくれました。
2023年5月にはワルキューレのファイナルライブも開催されるため、劇場版2作だけでも今のうちに視聴しながら彼女たちが歌う名曲たちを覚えておくのもお勧めポイントです。
【4番目】超時空要塞マクロス
TV版(全36話) | 1982年10月〜1983年6月 |
劇場版 | 『愛おぼえていますか』1984年7月21日 |
4番目にして、全ての原点かつ記念すべきシリーズ1作目である『超時空要塞マクロス』が入りました。
「なぜ、最新作(マクロスΔ)の後に初代なの?」と疑問を抱く人達も多いかもしれません。
その理由はやはり『絶対LIVE』で再登場したマックスとエクセドル(正式名は「エキセドル4970」)の影響と存在感が強く「若き頃のマックスはどんなエースパイロットだったのか?」や「エクセドルとの出会いは?」などが気になった人も多いはずです。
初代マクロス(西暦2009年)の時代や本編では、まだ敵同士として戦っていたマックスとエキセドルでしたが、最終決戦時にゼントラーディ側のボルドザーを倒して「文化を取り戻す」という意思により統合軍とゼントラ側で共闘したことがキッカケとなり、その後も『マクロス7』のバロータ戦役を始めとしてマックスとエキセドルは長い年月にわたり共に戦ってきました。
ちなみにマックスやエキセドルの過去を知りたさに初代マクロスを視聴する場合、FやΔとは真逆に「劇場版(愛おぼ)→テレビ版」の順に観ることをお勧めします。
マクロスシリーズは過去作から歴史が続くシリーズ作品ですが、ΔまではTV版でなく「劇場版の方から歴史が続いているため」です。
エキセドルもTV版から劇場版にかけてキャラデザが大きく変わっていたものの、続編の『マクロス7』や『絶対LIVE』では劇場版(愛おぼ)の方の姿で登場していました。
さらにマックスにおいても、敵として戦ったミリアと恋に落ちて結婚する人生はTV版と劇場版とで共通しています。
しかし、劇場版では互いに惹かれ合いながら最終戦で共闘するところで終わっています。
それに対してTV版の方では戦争終結後の日常生活も残り話数の中で多く描かれていて、新婚ホヤホヤのマックスとミリア夫妻の仲睦まじい光景も見られました。
(さらに戦争終結までの中でマックスとミリアの結婚式まで開かれたのです)
マックス夫妻のことはマクロスΔTV版5話でミラージュも話しており、この2人が「星間結婚の第1号」となってくれたおかげで、ハヤテとフレイアも結ばれたものと思います。
ほとんど、マックスの視点ばかりで書いてしまいましたが、先に『マクロスZERO』を視聴していた場合には、本作から成長したフォッカー隊長のかっこいい勇姿も堪能できますよ。
【5番目】マクロス7(セブン)
TV版(全49話) | 1994年10月〜1995年9月 ※未本放送分も3話あり |
劇場版 | 『銀河が俺を呼んでいる!』1995年10月7日 |
OVA版(全4巻) | 1997年12月〜1998年8月 |
5番目は初代マクロスの続編として『マクロスプラス』と並行して制作された『マクロス7』です。
前作から35年後の時代(西暦2045年)、「マクロス7船団」が銀河を旅する中でバロータ軍からの襲撃を受けた中、熱気バサラが愛機VF-19改(ファイアーバルキリー)で戦場を駆けながら歌い続けます。
さらに前作で活躍したマックスとミリアが再登場した上、娘のミレーヌも歌姫かつメインヒロインとして登場しました。
ちなみにマックスとエキセドルによるコンビも本作品から観られます。
(一条輝やミンメイのことも多くのキャラクターたちから語られていました)
リアルさを追求し実写寄りに作られたプラスとは対照的に『マクロス7』では「明るいマクロス」をテーマとして制作されたため、本放送当時は初代マクロス世代のファンたちから反感を買うことも少なくはありませんでした。
しかし、バサラやイサムの明るさが後のハヤテやフレイアに大きな影響を残したことも事実であり、FやΔもある現在では作品への評価も大きく変わってきていると思います。
私としては「戦わずに歌い続けるバサラ」や「デタラメだけど高い操縦センスをもつイサム」のいいトコ取りした主人公こそがハヤテだったとも思いますしね。
ただ、本作はTVシリーズの中では最も話数が長く、途中で少し中弛みした印象も否めません。
そのため、終盤ではかなり駆け足気味なスピード展開となってしまい、少し消化不良な終わり方でしたが、その辺は最終話から続く未放送の3話分や続編OVA(マクロスダイナマイト7)も観ることで何とか消化された気持ちになれます。
マクロスの新シリーズ作品でレディMの正体が明かされる?
『絶対LIVE』でマクロスΔが正式に完結した現在、河森総監督を始めとした制作側の方で秘密裏に、Δとは全く別物となる「マクロスシリーズの完全新作」の制作が秘密裏に始まっているかもしれません。
もしも実際に新シリーズが発表および放送される場合、やはり多くのファンたちが最も期待する要素とは「レディMの正体が正式に明かされるのか否か?」という点だと思います。
『絶対LIVE』本編でマックスの台詞から、レディMの本名(フルネーム)が「レディ・メガロード1」であることが判明した上、長年にわたり消息不明だったメガロード1も現れました。
このメガロード1の窓から1人の女性と1人の子供による人影も見えましたが”M”というイニシャルから、レディMの正体が「ミンメイまたは早瀬未沙なのでは?」という考察が多く上がっています。
そして、右側にいた子供の影は「ミンメイの孫」か「未沙の孫」である可能性も高いです。
この辺も完全新作の中で更に判明させてくれると嬉しいですよね。
まとめ
今回は「マクロスシリーズを観る順番」を私だけの好みや偏見だけで紹介してみましたが、如何だったでしょうか?
シリーズ作品の場合、第1作目から時代や作品順に観ていくことが普通と考える人も多いとは思いますが、現代では生まれた時代などの影響で1作目や2作目の本放送に出会えなかった若い世代のファンも多いため、決してその限りでもないと思います。
現在の若いマクロスファンを多く獲得したのも、マクロスFやマクロスΔの影響も強いわけですし、今ではマックスの影響で初代やマクロス7などの過去作に強い興味をもち始めている新規ファンも多いですから、新作から過去作へ繋がっていく考え方も場合によっては大いにアリと言えますよね。